東華菜館(touka-saikan)



藤森照信さんの「建築探偵 神出鬼没」で着目したお店。建物目当てでお邪魔して、「空間」の力を再認識しました。

同書によると、竣工大正五年、設計ヴォーリズ建築事務所。あえて「事務所」としているので、共同作業ということなのでしょう。
できた当初は「ヤオマサ」というフランス料理店(とくに南仏料理)だったものが後に中華料理店になったそう。
様式的には「スパニッシュバロック様式」というらしく、異例のタコ装飾にどビックリした藤森さんは、
「南仏料理」→「地中海料理」→「スペイン」→「スパニッシュバロック様式」という図式をこの建築に見いだしています。

……うーん、どうかなあ? 個人的には店主側の意向が影響したんじゃないかと思うのですが、それはさておき。

一利用客として所感。
「建物の影響力」と「歳月の蓄積」を実感できる(しかも実際的な生活空間として)、類まれなる機会の場所。
しかも何だか予想外にリーズナブルでしたよ。あんまり食べなかったとはいえ、一人3500円ってびっくりね。
銀座のライオンビアホールも行ってみなければ。


[東華菜館]京都市下京区四条大橋西詰
075-221-1147
11:30〜21:30/無休


2007年1月3日訪。


入り口。
ドアマン(?)の方が両側に。


入ってすぐの頭上、
これが噂のタコ装飾!
これはたしかにグロい……。 タコ嫌いの西洋人でなくとも引くのでは。
OTIS(オーティス)社製エレベーター。
これもも古いのです。
「83歳」とおっしゃったような。
ということは、
できた頃からずっと現役ということで。
内側が網格子。
「指を出さないでください」
の張り紙がありますが、
「まだどなたもお出しにならないですねえ」と、この場の主人の技師の方。
「スペシャリスト」

とはこういうことを言うのですね。
4階のテーブル席。
ここは普通の食事用。
コース予約は個室です。

ちなみに1階は待合いロビー。
応接セットがいくつか。
そんなとこも優雅です。


窓の取っ手が古いやつだ!
いかす。
南座と四条大橋、鴨川を望む
絶好の眺望。
柱の装飾にイズラミックモザイク。
こういうとこがスパニッシュなんだよなー。
西洋とイスラムの融合した独特の匂い。
そこに中国の家具調度と料理が加味されて、ここは京都。
すごくすごく不思議な空間と時間です。


天井の装飾。
建設当時は色鮮やかだったのかな?
こう渋く古びてくると、
むしろオールドチャイナに
感じられるから面白い。
建築か、
アンティークか、
オールドチャイナか、
近代京都か、
いずれかに興味のある人には
ぜひとも一訪をおすすめします。


あと、多分説得力に欠けてると思いますが
王道的北京料理で美味しいです。
4階のお手洗いのドア。
引き戸です。
省スペースか、日本的感性か?


1階のお手洗いの建具の取っ手。 メニューの表紙。
2007/1/3
大きくて皮厚でジューシーな餃子は、
ほぼ私の理想的餃子。
ブラボー!
水餃子は焼餃子よりデリケートで上品。
ショウガがきいててこれまたジューシー。
こっちも出色だ。






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